第54章

朝食を済ませると、木宮朱理は石塚勝矢とともに車で屋敷を出た。

病院へ向かう道すがら、木宮朱理は何度もバックミラーに目をやり、その奥に映る石塚勝矢の顔を盗み見た。

「何か言いたいことでもあるのか」

石塚勝矢が目を上げ、彼女の視線を受け止める。

木宮朱理はつらそうにまぶたを伏せた。

「勝矢。乙村彩羽さんは、ただの容疑者だって言っていたでしょう? だったら、どうして石塚家に連れて帰ったの? 容疑者なら、本来は警察に任せるべきじゃないの?」

石塚勝矢からは見えない場所で、木宮朱理は掌に爪を立て、今にも皮が破れそうなほど力を込めていた。

そうでもしなければ、石塚勝矢を問い詰めたい衝動を抑...

ログインして続きを読む