第56章

リビングは水を打ったように静まり返り、全員の視線が乙村彩羽へと集まっていた。

乙村彩羽は断言する。

「300万。受け取ったら、遠くへ行く。二度とあなたたちの前には現れない」

「それと、木宮さん。前に交わした約束も守ってください。もう、私の生活に干渉しないで」

木宮朱理は口元を吊り上げた。

「いいわ。一言で決まりね。乙村さん、お金だけ受け取って出ていかないなんてことしたら……容赦しないから」

「振り込みは2、3日であなたの口座に入れる。今日のことは、ここにいる全員が口を閉ざすこと。勝矢は忙しいのよ。こんな小さなことで、余計な心配をさせる必要はないわ」

木宮朱理は周囲を威圧するよう...

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