第57章

病院。

小崎寧音が乙村彩羽に返信しようとした、そのとき。唐突に、病室の外からコンコンとノックの音が響いた。

彼女はベッド脇に座っていた人物へ視線を向ける。

高橋遠矢は小崎寧音を見ることもなく、そのまま立ち上がって扉を開けた。

「若様」

来訪者の姿を認めると、高橋遠矢は恭しく身を引く。

石塚勝矢の長身が病室に現れた。仕立てのいいビジネススーツを隙なく着こなし、その端正な顔立ちには、どこか厳粛な気配が漂っている。

小崎寧音は意外そうに目を見張った。

「石塚若様、私に何かご用でしょうか」

石塚勝矢が中へ入ると、高橋遠矢はすぐさま椅子を運び、ベッド脇に置く。石塚勝矢はそこへ腰を下ろ...

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