第360章

「その『白い鳩』とやらが見つからなかったからでしょう。もし見つかっていたら、今ごろ戦場でのロマンスが成就していたかもしれないわね」唐沢楓は冷ややかな笑みを浮かべた。

「楓、命の恩人をそんな風に愚弄するのはやめてくれ」

水原悟は眉をひそめ、真顔で言った。「『白い鳩』とは一度会ったきりだが、俺の中ではかけがえのない、ずっしりと重みのある存在なんだ。誓って言うが、彼女に対してあるのは感謝と崇敬の念だけで、男女の情など微塵もない。

俺を殴ろうが罵ろうが、プライドを踏みにじろうが構わない。お前に恨み言ひとつ言うつもりはない。

だが、『白い鳩』に対してだけは、敬意を払ってほしい」

唐沢楓は唇を...

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