第397章

「で? もちろん銀行のカードをあいつの顔に叩きつけてやったわよ。『金なら腐るほどある、私が飼ってやる』ってね」

水原悟は傍らで静かに耳を傾け、目を細めた。面白い、と思ったのだ。

唐沢楓は思わず吹き出した。「なんだか知らないけど、あなたたちお似合いだと思うわよ。根本的な思考回路がそっくりだもの。処理するのは理性だけで、人間味ってものがない」

和泉郁佳の脳裏に、あの男の姿が浮かんだ。すらりと伸びた修竹のような立ち姿、理知的で鋭い眼差し、毛穴一つ見当たらない陶器のような肌、そして少年のような爽やかさを帯びた所作。

ごくり、と唾を飲み込む。喉の奥が乾いて疼いた。

「誰があんな男とお似合いな...

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