第400章

「嫌だ」

 水原悟は眉根を寄せ、頑として動こうとしなかった。

「退かないつもり? なら私が動くわ。お祖父様のテーブルへ行くから」

 唐沢楓は本気で腹を立て、その横っ面を張り飛ばしたい衝動に駆られた。

 彼女が本気だと悟り、水原悟は心中狼狽した。これ以上強情を張っていては本当に彼女が行ってしまう。彼は慌てて腰を浮かせかけた。

「楓」

 その時、唐沢佑がタイミングよく立ち上がり、涼やかな笑みを浮かべた。

「水原社長も招かれた客だ。手間を取らせることはないよ。僕が父さんの席へ移れば済む話だ。こんな些細なことで揉めるのはよしなさい」

 彼は飄々とその場を離れ、席を一つ空けた。

 七...

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