第405章

七瀬烈司は金縁の眼鏡を押し上げ、瞳の奥に昏い冷笑を浮かべた。「今回は譲ってやる。だが、今回だけだ」

「言葉を慎め、烈司様」

水原悟は顎を僅かに上げ、その美貌に孤高の影を落とす。「譲ったのではない。お前は俺に負けたんだ」

「水原悟……ッ」七瀬烈司は奥歯を噛み締め、眼窩を朱に染める。「負け」という言葉が何よりも許せなかった。

「だが分かっているか? お前も心血を注いで準備したというのに、なぜ俺に敗れたのか」

水原悟の星のような瞳には感情の色がなく、薄い唇が冷ややかで美しい弧を描く。「俺が策を弄し、知略を巡らせたのは、すべて楓の歓心を買うためだ。だが、お前の考えはそこまで純粋ではなかった...

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