第420章

水原光景は言葉を失った。

一方、水原悟は漫画のように縦線が入った呆れ顔で溜息をつく。

「爺さん、もう少し縁起のいいこと言ってくれませんか」

「言わなくてもわかるだろう、以心伝心じゃよ」

水原明一は孫の耳元に顔を寄せ、勿体ぶった調子で囁いた。

「いいか、誰にも言うなよ。お前の嫁さんはとんでもない傑物だぞ」

嫁さん?

水原悟の耳朶がカッと熱くなり、心臓が大きく跳ねた。

「さゆりが執刀したんじゃ。十時間以上もかけて、お前の脳内の血塊を取り除いてくれたんだ」

「楓が、俺の手術を……?」

水原悟は完全に虚を突かれた表情を浮かべた。

「驚いたか? ワシも驚いた。まさかさゆりの正体が...

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