第529章

警察署にいた時、彼女は水原悟を落ち着かせるため、ずっとその体で彼を拘束し続けていた。そのせいで腕の縫合の傷口が開いてしまったのにも気づかないほどだった。

署を出て初めてそれに気がついたが、昔から我慢強い彼女は、自分で手当てしようとそのまま家路を急いだ。

それなのに、この男は全く空気が読めず、まとわりついては止めどなく話し続け、しかも彼女を抱きしめて離そうとしなかった。離さないだけならまだしも、あんなに強い力でしめつけるなんて、彼女を抱き殺す気だろうか。

水原悟はようやく彼女を離した。

そのとき初めて、腕のあたりにじっとりとした温かい湿り気を感じ、目を伏せると、思わず顔色を変えた。

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