第13章

彼の言葉は妙に切実で、都合よく目元まで赤く染まっていた。

前世の――愚かなくらい彼を愛していた渡部綾香なら、きっと感動で涙をこぼしていただろう。

けれど今の渡部綾香は、ただ吐き気がするだけだった。

ようやく顔を上げ、正面から周防文哉を見る。口元に浮かぶのは、薄く、冷たい弧。

その一言が、彼を震え上がらせた。

「へえ。私が一番好き? じゃあ――私が鈴宮京也と結婚したあと、こそこそ会いに来て、あの人に寝取らせるつもり?」

「……っ!」

雷鳴みたいな言葉が、周防文哉の頭の中で炸裂した。

鈴宮京也に、寝取らせる?

人間の発想か、それは。

恐怖で魂が抜け落ちたみたいに、顔色がみるみ...

ログインして続きを読む