第142章

男の顔色が、みるみる変わった。

「お……お前、今なんて言った?」

「次の船も、あなたは助けません」

ドクターの声は相変わらず淡々としていた。まるで、当たり前の事実を読み上げるだけのように。

「これから先、闇夜の救助船は一隻たりとも、あなたに近づかない。半歩も、です」

男の顔から血の気が引く。

「ふざけるな! 正気か?! お前にそんな権限がどこにある!」

「権限?」

ドクターはその単語をなぞるように繰り返し、ふっと笑った。隠す気もない軽蔑と嘲りが、薄い笑みの奥に滲む。

「彼女は、俺の連れだ」

一語一語、噛みしめるように言う。声は大きくないのに、甲板にいる全員の耳へ、はっきり...

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