第145章

鈴宮京也の姿を見つけた瞬間、男は目に見えて肩の力を抜き、足早に駆け寄ってきた。

「鈴宮様!」

鈴宮京也は小さくうなずき、周囲へ視線を走らせる。

埠頭には、まばらに人が立っていた。――沈没船から逃げ延びた生存者たちだ。今はそれぞれの家族や後ろ盾の者に引き取られていくところだった。

抱き合う者。泣き崩れる者。何も言わず、ただ背を向ける者。

鈴宮京也の目は、その背中の列に留まり、ほんの一瞬、気づかれないほどの落胆が瞳の奥をよぎった。

手がかり。

父の死の真相は、あの船の爆発とともに、とうに海の底へ沈んだのだろう。

隣にいる渡部綾香へ目を向ける。彼女は俯いたまま、何かを考え込んでいる...

ログインして続きを読む