第15章

「……そう付け加えろ。俺――鈴宮京也は、何かを隠れてやる趣味はない。指を折ったのは、目障りだったからだ。今後は俺の「もの」に近づくなとな」

「承知いたしました、鈴宮様」

小林は一片の異論も挟まず、くるりと踵を返して出ていった。

鈴宮京也の言う「俺のもの」とは、言うまでもなく渡部綾香のことだ。

この女にどれほど疑念があろうと、どれほど値踏みしようと――建前の上では、彼女はすでに自分が婚約者として押さえた女。

関わりのあった男は誰であれ癪に障る。まして、身の程知らずに探りを入れてきた「元婚約者」など、権威への挑発そのものだった。

小林の仕事は早い。二時間も経たぬうちに戻り、手には小ぶ...

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