第18章

彼女は、銃を握る感覚を鈍らせたくなかった。家に籠もって命を擦り減らす気もない。

けれど、危険の巣みたいな渡部家に鈴宮深を一人で置いていくのは不安で、結局そのまま連れ出すことにした。

鈴宮深は口が堅い子だ。ここまで一緒にいて、言葉らしい言葉を聞いたのはたった一度きり。余計なことを言わない――そこだけは信用できる。

小原は、渡部綾香が粉雪みたいに白くて整った顔立ちの、なのに妙に静かな鈴宮深を連れて現れたのを見ると、目に一瞬だけ驚きが走った。だが何も聞かない。ただ黙って鍵を開け、扉を押し開ける。

クラブの中には、いつもの匂いが漂っていた。油と金属、火薬の残り香――そして、薄い酒気。

綾香...

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