第31章

鈴宮京也は足を止め、氷のように冷えた視線を林野佳恵へ落とした。まるで、耳障りにぶんぶん飛び回る蠅でも見るかのように。

渡部綾香もまた歩みを止め、鈴宮京也の半歩後ろに控える位置で腕を組むでもなく立ち、冷ややかに成り行きを見守った。林野佳恵が、いったいどこまで醜く足掻くのか――その見物だ。

鈴宮京也が止まったのを見て、林野佳恵は「聞いてくれた」と勘違いしたらしい。さらに調子づき、息継ぎもろくにせず、豆をぶちまけるみたいな早口でまくし立てる。

「鈴宮さん、ご存じですか! あの女、十八でどこの野郎と寝たかも知れないくせに、腹に種まで宿してるんです! 産んだ子も死産で、縁起でもない! それに前は...

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