第38章

城内きっての一流ホテル。そのプライベートガーデンのテラスでは、大ぶりで凝った細工の白いパラソルが、娘たちの肌を陽射しから守っていた。

小規模ながらも、名家の令嬢たちによる午後のティータイムが開かれている。カップがソーサーに触れる音は涼やかに澄み、ひそひそ声とくすくす笑いが風に混じった。空気には、いくつもの高級香水が重なり合った甘い残り香。

鈴宮クルミが注目を集めるのは当然だ。鈴宮家の令嬢。その肩書だけで、席の空気は彼女を中心に回る。

けれど今日の「主役」は、別にいた。

黒谷リリス。

極道の三大家のひとつ、黒谷家の娘。深い栗色の巻き髪は量が多く、蜜色の肌に、派手で張りのある顔立ち。生...

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