第48章

横合いの分かれ道から、ひとつの影が勢いよく飛び出してきた。危うく、渡部綾香にぶつかりかける。

十五、十六くらいに見える少年だった。ひょろりと痩せ、薄汚れて擦り切れた使用人服を着ている。顔にも手にも服にも、生々しい血がべったりとついていた。裂けた傷のいくつかは、まだどくどくと血を吐いている。

露出した皮膚越しに、骨が覗きそうな深手すら見えた。

少年の顔色は紙のように白く、瞳には極限の恐怖が張りついている。まるで地獄から這い上がってきたみたいに。

少年は渡部綾香を見て一瞬固まり、次の瞬間、瞳孔をきゅっと縮めた。全身の力を振り絞り、しゃがれた声で叫ぶ。

「はや……逃げろ!」

叫びが廊下...

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