第60章

鈴宮智也は一瞬、言葉を失った。あのときは痛みでのたうち回っていて、給仕の顔だの名前だの、はっきり覚えているはずがない。

だが――誰かが、あの場面を見た。

「お、俺は……覚えてない! でも見てたやつがいるはずだ! 調べろ! あの晩の給仕を全員呼んで聞け!」

鈴宮智也は荒い息を吐きながら叫ぶ。

鈴宮京也はうなずき、スマホを取り出して、鈴宮智也の目の前で電話をかけた。

「宴会当日の給仕、全員分の資料と勤務記録を出せ」

そう告げてから、鈴宮智也へ視線を向ける。

「おじさん、ご安心ください。ひとりずつ、必ず確認します。鈴宮深がやった証拠が本当に出るなら、俺も見逃しません」

声音だけは、...

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