第101章

このホテルの売りの一つは、各テーブルに専属のバトラーがつくことだ。山本翔一に下がれと命じられ、バトラーは生きた心地がしなかった。自分が何か粗相をしたのかと不安に駆られる。もし山本社長の言葉に従わずにここに留まれば、間違いなく社長の不興を買うだろう。しかし、二人の給仕をするために残らなければ、それはそれで職務放棄として罰せられるかもしれない。バトラーは板挟みになり、進退窮まっていた。

山本翔一はナイフを音高く皿に叩きつけた。

「下がれと言ったら下がれ!」

バトラーは頭をこれ以上ないほど深く下げ、後ずさりしながら部屋を出て行った。

山本翔一が腹を立てたのを見て、彼がバトラーをさらに追い詰...

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