第354章

山本翔一の表情が、瞬時に凍りついた。

「まさか、そうだったとは……」

私は慌てて言葉を継いだ。

「ただ、あの頃のあなたはプライドが高すぎたのよ。仕事のことしか見えてなくて、周りにはいつもいろんな女性がいたし……だから、彼女の想いに全く気づけなかっただけ」

山本翔一は黙り込んだ。わずかに俯き、唐突に突きつけられた真実を必死に飲み込もうとしているようだ。

その時、カウンセリングルームの扉が開き、平沢雪乃が出てきた。

彼女は山本翔一の姿を認めるなり、ぴたりと足を止める。その瞳には、あからさまな警戒色が宿っていた。

彼女は反射的に早足で私のもとへ駆け寄ると、庇うように私の前に立ちはだか...

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