第24章 再反転

その瞬間、新谷明珠は、いま起きていることを緒方廷治に知らせてしまおうか――そんな衝動に駆られた。

だが、ふと冷静になる。松本家で今日何があったかなど、どうせすぐ外へ漏れる。自分から口を出しては、かえって疑いを招くだけだ。

「ピロン!」

使用人に半ば引きずられるように部屋へ戻されていた松本霞澄のスマホが、短く鳴った。

頭はくらくら、胃はむかむかする。怒りと悲しみで胸がいっぱいで、画面を見る余裕などない。

周防の爺さんが、なぜ土壇場で寝返ったのか――それがどうしても理解できなかった。

学生の頃、霞澄は周防の爺さんを「尊敬する年上」だと信じていた。食べ物や服の世話から、賃金の未払いを一...

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