第46章 他人が金持ちなのを見て、コネを作りたいんだろ?

松本霞澄が退院したのは、翌朝のことだった。

不幸中の幸いというべきか。一度は生死の境をさまよったというのに、彼女に大きな外傷はなかった。額にうっすら痣が残ったくらいで、急ブレーキのときにどこかへぶつけたのだろうと医師は言った。1週間もすれば消える程度らしい。

退院しても、松本霞澄はまっすぐ家へは帰らなかった。

どうしても保坂婆さんのことが気がかりで、青山療養院へ足を向けたのだ。

「106号室の保坂雲さまですか? ご家族の方が退院手続きをされまして、もうこちらにはいらっしゃいません」

羽田絵亜が聞かされたのと同じ答えだった。

それでも松本霞澄は諦めきれず、ためらいがちに問いかける。...

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