第6章
浅桐瑠璃視点
「はい、連絡先」
柊木湊はデスクから取ったポストイットに何かを書きつけていた。
「何かあったら、メッセージして。初めてだから、何が何だか分からなくなりがちさ」
「本当にありがとうございます。助かりました。何から何まで親切にしてもらって……」
私はポストイットを受け取った。ほんの一瞬、指先が触れ合う。彼の手は、太陽の光を浴びて温かかった。
「友達だろ?」
彼はにっこり笑ってドアへ向かった。
「またキャンパスでな!」
彼が去った後、私はがらんとした壁と空っぽの机、そして私の未来がどうにでもなりそうな窓が映る、真新しい自分の部屋の真ん中にただ立ち尽くしてい...
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