第101章 小さな奇跡

天樹夢子が驚いていると、陸川北斗が近づいてきて、彼女の髪をくしゃりと撫で、そっと腕の中に抱きしめた。「お疲れ様」

真剣に仕事に取り組み、依頼人の権利のために懸命に戦う天樹夢子の姿に、陸川北斗は心を奪われた。

法廷に立つ彼女は真面目で、荘厳で、厳粛だった。普段のふざけた態度の天樹夢子とはまるで別人だ。

これほどまでに法を尊重する天樹夢子を見て、陸川北斗はふと思った。あの火事は本当に彼女が放ったものなのだろうか、と。

陸川北斗の労いの言葉に、天樹夢子は淡く微笑んだ。「ありがとう!」

彼女がこの仕事に就いてから、陸川北斗が法廷に足を運んだのは、これが初めての案件だった。

謝川主任たちは...

ログインして続きを読む