第119章 二人息を合わせて歌う

柏木明珠はランチを彼のデスクに置くと、向かいの椅子を引いて腰掛けた。身を乗り出し、こっそりと囁く。

「北斗兄さん、私、今会社で働いてるんです。株はまだ兄さんが代行管理してるけど、私も会社の筆頭株主で、兄さんと同じ株を持ってるんですよ」

このことは、柏木明珠がずっと陸川北斗に自慢したくて仕方がなかったことだったが、なかなか機会がなかったのだ。

彼女が思いもよらなかったのは、かの天樹夢子は一人娘だということ。将来は天樹グループのすべてが彼女のものになる。彼女が望めば、天樹清華は今すぐにでも株を譲渡できるのだ。

「おめでとう」

「北斗兄さん、柏木家と陸川家はもともと仲が良いんですから...

ログインして続きを読む