第132章 彼は避妊している

「わかりました、お母様。後で部長に一声かけて、早めに向かいます」

三上汐浪から電話でリマインドされなければ、天樹夢子はこの件をすっかり忘れるところだった。

電話の向こうで、三上汐浪が念を押す。「後で北斗が迎えに行くから、二人で一緒に来なさい」

「わかった」天樹夢子は笑った。「もし会えたら一緒に行く」

そう言うと、天樹夢子は電話を切って謝川主任に挨拶し、早退した。

車を発進させて間もなく、陸川北斗から電話がかかってきた。彼は言った。「今、君の会社のビルの下に着いた」

電話口で、天樹夢子は答える。「もうすぐ旧宅に着くところよ」

陸川北斗は……。

プツリと電話を切り、陸川北斗は問う...

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