第144章 生きる機会を彼に与えた

その様子を見て、天樹夢子は鷹揚に言った。「行ってらっしゃい。待ってるから」

陸川北斗に付き添って来た以上、彼女は当然、気を落ち着かせることができた。

陸川北斗が柊木凡と共に部屋へ入っていくと、リビングには天樹夢子と柊木嶋の二人だけが残された。

柊木嶋は緊張した面持ちで天樹夢子をしばらく見つめた後、慌てたように口を開いた。「夢子、ご飯は食べた? 何か作ろうか」

天樹夢子:「いいえ、結構よ」

柊木嶋:「じゃあ、お水でも淹れるわね」

柊木嶋がしきりに気を遣おうとするので、天樹夢子も遠慮はしなかった。

二人はそれぞれ別のソファに腰を下ろす。天樹夢子は落ち着き払っているの...

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