第181章 お前たちが黙っていると思って、俺が何も知らないとでも?

天樹夢子の問いに、陸川景陽はゆっくりと振り返り、にこりと笑った。「お前と笹川諭が何も言わなければ、俺が何も知らないとでも思ったか?」

陸川景陽にそう言われ、天樹夢子は彼を見てもう笑えなくなった。

どうりで、今回買ったお菓子はやたらと酸っぱいものが多いわけだ。

空港まで送るついでに一緒に出張についてくると言い張ったり、自分がC市に着いた途端に彼が後を追ってきたり、二十四時間そばを離れずソファで寝ると言い出したりしたのも、無理はない。

なんのことはない、彼はすべて知っていたのだ。

その様子に、陸川景陽は口元にうっすらと笑みを浮かべ、ポケットから右手を取り出すと天樹夢子の髪をくしゃっと撫...

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