第416章 彼は去ることになった

 茅野悦子は天樹夢子を見つめ、おずおずと報告した。「天樹社長、望月家の奥様が刑務所でお亡くなりになりました。今朝のことです」

 一瞬、時が止まった。

 天樹夢子は、手にしていた書類をゆっくりと置いた。

 二年前、望月奥様は有罪判決を受けた後、一旦は出所して手術を受けた。手術は成功し、回復してから再び服役していた。医師によれば、薬を飲み続ければあと五年は問題なく生きられるはずで、本人にも楽観的な気持ちを保つよう伝えていたという。

 もともと乳癌の手術だった。生涯にわたって執着心の強かった人が、刑務所に少し入ったくらいで、すべてを達観できるわけがない。

 物思いに耽ってしばし沈黙した後...

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