第428章 妊娠したのか?

天樹夢子はちらりと老漢方医に目をやり、落ち着き払った様子で手首の甲を柔らかい脈枕に乗せた。

医者の二本の指が、優しく彼女の脈の上に置かれる。

天樹夢子はさも当然といった顔で相手を見ていた。その表情からは感情も、疚しさも読み取れず、まるで本当に妊娠しているかのようだ。

指を天樹夢子の脈に当て、しばらく探っていた医者は、そっと手を引いた。

「診察は終わりました」

医者の言葉が終わるや否や、天樹夢子がまだ袖を下ろす間もなく、隣にいた遠野怜香が口を開いた。

「彼女、妊娠してるんですか?」

天樹夢子が先ほど彼らと口論していた様子は、どう見ても妊婦には見えなかった。

医者は遠野怜香の問い...

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