第429章 陸川北斗が驚いた

叶ちゃんは素直で聞き分けがよく、象棋の相手までしてくれる。

 彼を手放したくなかった。

 それでも、玄関先まで来たお爺さんはそれ以上ついていくことはなく、ただその目に悲しみを満たしていた。

 ふと、陸川北斗の実父である江崎宗远のことを思い出した。

 あの日、最後に彼を家から送り出した時も、こんな風によく晴れた、春の夕暮れだった。

 まさか、それが父と子の最後の別れになるとは思いもしなかった。

 陸川北斗に手を引かれてその場を離れる天樹夢子の視線の端は、鋭くお爺さんの感情を捉えていた。

 今、振り返らなくても、お爺さんの足音と杖を動かす音だけで、天樹夢子には彼が陸川北斗と叶ちゃん...

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