第73章 私のことを好きになったの?

陸川北斗の感情のない声を聞き、陸川景陽は慌てて告げ口をした。「兄さん、望月良秀がさっき夢子姉に電話してた」

電話の向こうで、陸川北斗の声が一段と低くなった。「朝っぱらから俺の嫁に何の用だ?」

……陸川景陽は、すぐさま弁解した。「あの夜のことを夢子姉に報告しに行ったんだよ。ついでに夢子姉の態度も見ておこうと思って。兄さんのところで手柄を立てて、罪を償わないと」

今度の陸川北斗は余計なことは言わず、単刀直入に告げた。「陸川景陽、これ以上天樹夢子に俺との離婚をそそのかすなら、今後A市にはいさせないからな」

陸川北斗にそう言われ、陸川景陽はぎょっとして声を張り上げた。「兄さん、離婚したくない...

ログインして続きを読む