第103章 すり替え

塩谷元博が会場の出入口をすべて封鎖した以外、晩餐会そのものは大きな混乱もなく進んでいた。

ただ――桜井瑞希が人の間を通り過ぎるたび、周囲の視線がどこか引っかかる。

真相がはっきりするまでは、やはり彼女のほうが疑わしい。そう思っている者が多いのだろう。

「黒崎社長。例の時間帯の監視カメラ、引き出せました。ご覧になりますか」

鈴木謙介が近づいてきて、黒崎恒一に声をかけた。

黒崎恒一は小さくうなずく。

「……ああ」

桜井瑞希も身を乗り出した。ノートパソコンの映像には、当時の様子がはっきり残っている。

彼女の部屋から出てきたスタッフが、そのまま仕事に戻らず、廊下脇の更衣室へ入った。し...

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