第116章 この件は私がやったことではない

「桜井瑞希。動画の件……あれはお前がやったと認めるのか?」

黒崎恒一が、もう一度問いかけた。だが今度は、これまでとは明らかに違う。

さっきまでは「どう説明する」と逃げ道を残していたのに、今回は違う。桜井瑞希の目の前で、彼は録音機のスイッチを入れた。

――つまり。

ここで「はい」と言った瞬間、黒崎恒一は彼女を法的に訴える権利を得る。彼女の自白は、そのまま証拠になる。

「答える前に、よく考えろ」

黒崎恒一の念押しに、さっきまで緩んでいた瑞希の心臓が、またきゅっと締まった。

これは解雇の話じゃない。もっと重い――告訴の話だ。

その空気を読んだのか、菅田晴海が怯えたふりをして口を挟む...

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