第123章 偶然かそれとも故意なのか

「A457便をご利用のお客様は、お早めにご搭乗ください」

空港アナウンスが流れるなか、桜井瑞希は海外行きの機内へと足を踏み入れた。

これも黒崎恒一が彼女に割り振った仕事だ。出張が入ったおかげで、瑞希は三日ほど休みをもらえた。でなければ退院した翌日には、会社に顔を出さなければならなかったはずだ。

指定された座席を探し当て、通路側に腰を下ろした――その瞬間。

隣の席に座っていた人物を見て、瑞希の表情が固まる。

……なんで、よりによって。

いま一番会いたくない男。

水野優奈の件で、瑞希は黒崎が庇い立てしたことをまだ許していない。辞めたい気持ちは心の奥に根を張り、黒崎家から離れる道がな...

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