第156章 引くつもりはない

黒崎恒一は言いかけて、何かを気にするように、ちょうど目を覚ましたばかりの由衣へ視線を投げた。

桜井瑞希はすぐに察し、由衣の様子を整えてから病室を出た。

黒崎恒一はそこでようやく続きを口にする。

「学校側と連絡を取って、校門前の監視カメラ映像から当て逃げ車両のナンバーを割り出した。あとは車の持ち主を突き止めれば、誰がやったか分かる」

そう言いながら眉間に皺を寄せる。今回の件を、彼が本気で重く見ているのがはっきり伝わってきた。

「君が俺を信じるなら、俺が直接、そいつを法廷に立たせる」

けれど桜井瑞希は、その言葉を聞いても素直に頷けなかった。

確かに表面上は、よくある当て逃げに見える...

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