第164章 医者は自らを医せず

「瑞希、まさか……わざわざ私をこんな遠くまで呼び出して、用件がそれだけだなんて思わなかったわ!」

葉山静香は信じられない気持ちだった。S市まで来るのだって、時間も手間もかかる。

桜井瑞希もどこか憮然としている。

「本当はね、内容証明なんて放って、このまま出ていくつもりだった。でも、子どもたちが帰りたがらなくて……どうしても黒崎恒一に会いたいって言うの。私は会う気ないから、静香に頼むしかなかった。子どもには、全部終わってから適当に理由つけて誤魔化せばいいし」

瑞希から電話が来たのは二日前。そして明日が、法律事務所での話し合いの日だった。

「でも瑞希、私が代わりに出るって言っても、どう...

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