第17章 奥様が恋しくて、気でも狂った?

「ええと……人事のほうでは、あまり心当たりがないようで……」

鈴木謙介は報告しながら、黒崎恒一と目を合わせることすらできなかった。うっかり視線を受け止めた瞬間、射抜かれる――そんな気がしたからだ。

黒崎恒一はその言葉を聞いた途端、声の温度が落ちた。重く、怒りを含んだ低音。背筋がひやりと冷える。

「心当たりがない? 人事はいつから、そんな杜撰な採用をするようになった。だったら入れ替えろ」

鈴木謙介の額に冷や汗が滲む。黒崎社長が仕事で情けをかけない男だと、身に染みて知っていた。

「……はい」

「それと、あの女は正規ルートじゃないんだろ。解雇だ。今すぐ通達を出せ」

「はい!」

鈴木...

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