第175章 地獄へ送ってやる

桜井瑞希は走り出して二歩目で、まさか近くに車椅子が置かれているとは思わなかった。ぶつかった拍子に車椅子が後ろへずれ、瑞希の身体はふわりと浮いたようにバランスを失う。床へ叩きつけられる――そう思った瞬間。

「瑞希!」

葉山静香がそれを見て、反射的に駆け出した。腕を伸ばして引き留めようとするが、距離が遠すぎる。

瑞希はぎゅっと目を閉じた。もう、運が悪いとしか言いようがない。

熱を出したのも誰かに仕組まれたせい。会社は揉め事に巻き込まれ、やっと落ち着いたと思ったら再発。挙げ句の果てに、こんな目に遭うなんて――とことんついていない。

でも、前向きに考えれば、ここは病院だ。転んだところで、す...

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