第184章 酔い潰れ

「恒一、もうやめて!」

水野優奈が駆けつけたとき、個室の中はすでに目も当てられない有様だった。

部屋いっぱいに、いくつもの酒が混ざり合ったむっとする匂いがこもっている。壁際や床には、割れた酒瓶の破片が点々と散らばっていた。

この光景を見ただけで、ここで何が起きたのか――だいたい察しがつく。

そして黒崎恒一本人も、無事とは言い難い。服は乱れ、スーツの上着は情けないほどくしゃくしゃになって隅に投げ捨てられている。ネクタイは苛立ちまぎれに緩められ、首元でだらりと垂れ下がっていた。シャツに至っては、誰かに乱暴に引きちぎられたみたいにぐしゃぐしゃだ。

「放っておけよ」

黒崎恒一はそう吐き捨...

ログインして続きを読む