第187章 一生の一大事

桜井瑞希がドアを開けた瞬間、そこに立っていたびしょ濡れの男を見て、反応の仕方が分からなくなった。

「黒崎恒一……あなた……」

黒崎恒一は、外で長いこと雨に打たれていたみたいに全身ずぶ濡れだった。シャツは肌に張りつき、輪郭をいやというほど浮かび上がらせている。

髪からもぽた、ぽたと雫が落ちる。外は土砂降り、そして彼ひとりが小雨を降らせているみたいだった。

瑞希は考えるより先に動いていた。乾いたタオルを引っ掴み、黒崎に放る。

黒崎恒一は何も言わない。ただ黙々と、自分の身体を拭きはじめた。

気まずい。息が詰まるほどに。

これ、どういう状況? 黒崎恒一はいったい何をしに来たの。しかも、...

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