第19章 誤解です

二人が一歩も譲らずに睨み合っていた、そのときだった。

鈴木謙介が慌ただしくドアを押し開け、飛び込んでくる。

「黒崎社長……」

黒崎恒一は、桜井瑞希の身体を壁へ押しつけたままの体勢を崩していなかった。鈴木謙介の立ち位置から見れば、二人はどう見ても――妙に艶っぽい距離感だ。

桜井瑞希は人が入ってきたのを見て、顔に一瞬の動揺を走らせる。咄嗟に黒崎恒一を押しのけ、服の乱れを整えた。だがその仕草が、かえって誤解を深める。

鈴木謙介は慌てて背を向けた。

黒崎恒一は鈴木謙介の性格を知っている。ノックもなしに入ってくる男じゃない。よほどの急用があるに違いない。

黒崎恒一はゆっくりとネクタイを直...

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