第210章 逃れられない

「お嬢ちゃん、よそ者だろ? この辺のこと、何も知らねぇんじゃないか。俺ら地元の人間だからさ、いちばん旨い食いもんも、いちばん楽しいとこも案内してやるよ。もちろん金は取らねぇ。友だちになりてぇだけ」

チンピラはそう言いながら、桜井瑞希へにじり寄ってきた。

瑞希はすでに警戒している。じり、と後ろへ下がりつつ言った。

「結構です。たしかに私は外から来ましたけど、友だちがこの近くにいます。すぐ見つけてくれますから」

「友だち? 平気平気。そいつは別の連中に相手させりゃいい。お前が俺らとちょっと遊んでくれりゃ、何も心配いらねぇよ」

瑞希は素早く状況を数えた。正面にいるのは二人だけ。後ろの出口...

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