第211章 教訓として

予想していた最悪の展開は、起きなかった。

黒崎恒一は表情ひとつ変えない。だが、さっきまで威勢よく囲んでいた連中のほうが、何かもっと恐ろしいものを見たみたいに顔色を変え、踵を返して一斉に逃げ出した。

――黒崎恒一が呼んでいた援軍が、到着したのだ。

桜井瑞希を見つける前に、彼は土屋英樹へ連絡を入れていた。護衛の一部を回してほしい、と。

この広い街で、たった一人で桜井瑞希を探すのは無茶がある。遅れたとはいえ、タイミングは最悪ではなかった。むしろ、ぎりぎりで間に合った。

形勢は一気にひっくり返る。さっきまで劣勢に見えた黒崎恒一が、いつの間にか場を支配していた。

「全員確保しろ。警察署には...

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