第229章 ここを出て行こうか

水野優奈の姿が見えた瞬間、場の空気がさざめいた。

誰もが、彼女と桜井瑞希、そして黒崎恒一の間に何があったのか、その細部までは知らない。だが少なくとも――黒崎恒一が水野優奈と別れた、という事実だけは周知のことだった。

それなのに、今さら彼女がここに現れる。どう考えても、自然じゃない。

黒崎恒一は眉をひそめ、歩み寄った。

「……どうして来た」

水野優奈は、まるで何事もなかったかのように柔らかく笑う。

「今日は、ただお祝いを持ってきただけよ。どうであれ、瑞希さんとも知り合いだったし、あの子たちのことも好きだったから。わざわざおめでとうを言いに来たの」

そう言いながら、手にしていた包み...

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