第231章 感性と理性

「瑞希!」

関根承吾がドアを叩いて呼びかけても、返事はない。

ついさっき家まで送り届けたばかりだというのに、桜井瑞希は部屋に閉じこもり、誰にも会おうとしなかった。

瑞希はドアにもたれ、床に座り込んでいる。胸の奥が、どうしようもなく苦しい。

まるで天が「もう一度選び直せ」と機会をくれたくせに、次の瞬間にはその甘い幻想から無理やり引きはがしたみたいだった。

どうして、水野優奈と黒崎恒一が寄り添う姿なんて見せたの。

どうして、信じようと決めた矢先に、こんなことが起きるの。

――そんな考えが頭を占めたのは、ほんの一瞬だった。瑞希は自分で自分を叩き潰すように、その思考を押し殺す。

ここ...

ログインして続きを読む