第32章 黒崎恒一のオフィスに君の写真がある

桜井瑞希が帰宅したのは、もう夜の十一時を回ってからだった。

颯太と由衣は部屋にいて、二人そろってまだパソコンの画面にかじりついている。

瑞希は険しい顔のまま、部屋の奥にいる小さな二人に向かって声を張り上げた。

「ちょっと、二人とも。なんでまだ起きてるの?」

瑞希の姿を見た瞬間、颯太は椅子からぴょんと飛び降り、ぱたぱたと駆け寄ってくる。

「ママ、聞いて! 由衣とね、すっごいこと見つけたんだ。パパのこと!」

由衣も興奮して手足をばたつかせ、瑞希の手を引っ張った。

「ママママ、ほんとだよ! 早く見て!」

二人の口から黒崎恒一の名が出るたび、瑞希の胸には小さな棘が刺さるみたいに痛む。...

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