第61章 黒崎恒一は君を疑っている

鈴木謙介が店内に入るなり、まずぐるりと見渡した。視線が止まったのは、ソファの隅に腰を下ろしているカーキ色のシャツの男。まっすぐそこへ歩いていく。

「失礼します。弊社のプロジェクトが盗まれまして……調べたところ、この喫茶店内にハッカーがいる可能性が高いんです。よろしければ、お客様のパソコンを確認させていただけませんか」

テーブルの下に身を潜めている桜井瑞希は、心臓がきゅっと縮んだ。

——さっき、竹内良真にパソコンを片づけさせるのを忘れた。

この店でノートパソコンを開いているのは、たぶん彼だけ。狙いが彼に向くのは当然だ。

今の瑞希には助けようがない。祈るしかなかった。竹内良真、頼むから...

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