第63章 私と恒一の婚約の招待状

「黒崎社長……結局、何が言いたいんですか。まさか、私を疑ってるんですか?」

桜井瑞希は困ったように彼を見上げ、いかにも無実ですと言わんばかりの顔を作った。黒崎恒一が最初から彼女に違和感を抱いていなければ、きっとその無垢な仮面に騙されていただろう。

黒崎恒一は瑞希の背後のドアに片腕をつき、逃げ道を塞ぐ。彼だけが纏う冷たい気配が、じわりと彼女を包み込んだ。瑞希の鼓動はやけに速い。けれど悟られるわけにはいかない。必死に、息の揺れまで押し殺す。

社内で黒崎恒一と五秒以上視線を合わせられる人間はいない。鋭すぎる眼差しは、目を通して心の奥まで覗き込んでくるみたいで――怖くならないほうがおかしい。

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