第73章 選ばれし者

「調べました。ここ二年ほどで上場したばかりの会社で、まだ知名度は高くありません。登記上の代表者も確認しましたが、こちらでは面識がありません」

「その代表者を呼べ。俺が会う」

黒崎恒一は、いったい誰がそんな度胸で自社の核心資料を盗み出したのか、この目で確かめたかった。

だが、鈴木謙介は明らかに乗り気ではない。

「黒崎社長、会ってもあまり意味がないかもしれません。向こうの企画は向こうのものですし、たしかにうちの資料を使ってはいますが……先方の協力会社も『仮に同じ内容を御社がやっても結果は変わらない』と言っています」

つまり、資料の出どころがどこであれ、相手が気に入ったのは向こうの案だ。...

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